映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

佐伯清監督「昭和残侠伝 唐獅子牡丹」190本目

1966年作品。

「女囚さそり」をクリアした私でも、珍しく最後までじっくり見るのがちょっとツラかったです。

歌舞伎をみてると勘違いしそうな道徳観で、舎弟を守るために赤の他人を殺し、隣の組のなわばりを荒らし、と血なまぐさいのですが、メインの仕事は石の採掘です。そのへん堅気です。

しかしその道独特の美学が貫かれていて、高倉健の肩の雪を池辺良が払う瞬間は、その道の男たちにはこたえられない瞬間だろうと思います。逆にいえばその道の美学にひかれない人にはあまり意味のない映画です。・・・と、めずらしく無口な私でした。