映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョセフ・フォン・スタンバーグ監督「間諜X-27」177本目

1931年のアメリカ映画。
原題は「Dishonored」、不名誉なことがあった、みたいな意味でしょうか。

大昔の映画大好き!1931年と聞いただけでムラムラします。
そして主演はかの有名なマレーネ・ディートリッヒ。ワクワクしますね。
オーストリアスパイ役の執事顔の男はグスタフ・フォン・セイファーティッツっていうんですね。アメリカ映画だけどドイツ人俳優ばっかり。

マレーネさん、原節子的なちょっとゴツい超美形って印象を持ってたんだけど、コケティシュな丸顔で頬骨が高く、骨格はちょっとケイト・モスにも似てます。冷たそうなんだけど可愛くて、周囲の男性たちが、たちまち取り囲んでしまう。すごい吸引力!

コントラストの強い白黒映像、細眉の女優、スパイや仮面舞踏会・・・というめくるめくイメージにうつつを抜かしてしまって、ちっともストーリーが頭に入りません。
マレーネさん舞踏会ではグラムロックスターのような衣装。

ロシアのスパイを演じるヴィクター・マクラグレン。オードリー春日もびっくりの大スマイルでマレーネを追いつめます。面白い。

しかし次の場面では!マレーネまさかの田舎娘ふう!すっぴんで無知な民族衣装の娘なんて演じちゃっていいんですか!彼女が連れている猫がまたすっごい可愛い・・・ダヤンみたいな吊り目で。・・・捕まった後はなぜか、村娘服のまましっかりメイクに!

何度も逃げ延びたけど、ロシアのスパイを見逃して判決を受けた瞬間、いつものポーカーフェイスが一瞬、ほんの少しだけこわばる。この“ほんの少し”感もすごい。

最後に、本人が望んだ娼婦のかっこうの彼女を導く若い兵士は、彼女が最初にスパイとして迎え入れられたときに案内したのと同じ人なんですね。彼女も覚えていた。兵士は最初に会ったときに一目ぼれしたから、最後の場面で耐えられなかったのですね。彼が退場し、あっさりとおわりをとげる彼女は、頬笑みさえ浮かべて本当にきれいです。

いやー、初めて見たけど演技力があって、非常にカンのいい知的な女優さんですね。能面のようなポーカーフェイスの印象が強かったけど、むしろ彼女の内面が演技を光らせています。映画の中の彼女を見ていて、人間愛に満ちた、あたたかい人柄と強い意志をもった人だったんじゃないか・・・という印象を受けました。

限られた技術の中でここまで完成度の高い画面を作り上げた当時のスタッフにも敬意を表します。近代史にうとい私には、ストーリーを追うのが難しかったけど、映画好きな人なら一度は見るべき!名作でした。以上。