映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

中原俊監督「12人の優しい日本人」174本目

1991年作品。

映画の監督はこの人だけど、脚本というか映画のもととなった舞台を主宰している三谷幸喜の作品といってもいいのかな。

じつは三谷幸喜ってちょっと苦手で、楽しめなかったらどうしようと思いながら見たのですが、面白かった。ベースとなった「12人の怒れる男」は組織論の授業(!)で見たことがあって、あまりの面白さに参ったんだけど、こっちは実に日本人の優しさやズルさ、無責任さ、その一方のち密さ、感覚的なようで鋭い直感・・・とか、よく描けていました。日本人という設定にしてはみんな能弁でキャラが立ちすぎてますが。

「怒れる男」にいるような、アメリカン・ピルグリム・ファザー的なリーダーがこの映画にはいません。だって日本人だもん。したがって議論も一方向ではなく、あっちいきこっちいき、最後に元に戻るのですが、なんとなくの結論と考えた末の結論の意味は全然違います。

日本人ってものをよくとらえ、表現した作品だと思います。これが三谷的世界なのか。納得です。以上。