映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

マルセル・カルネ監督「嘆きのテレーズ」118本目

1952年フランス作品。

白黒のコントラストの強い映像が、堅くて暗いヨーロッパの空気をよく表しているように思います。

養女として育てられた家で、その家の虚弱体質の息子の嫁にされてしまったテレーズ。姑にいびられながらも凛とした美しさを持った女性。夫が家に連れてきた知り合いのトラック運転手に出合って、初めて人生の楽しみを知った彼女は、家と彼との間で迷い戸惑う・・・。

この脚本を日本で映画化したら湿度が40%くらい高くなったと思うけど、テレーズ役のシモーヌ・シニョレがほとんど表情を変えず、寡黙に強さと自分らしさを保ち続けているのが、じつにヨーロッパらしい。

フランス映画だけど彼女はがっしりした肩やアゴと切れ長な眼をしたゲルマン系。クールだけど可愛い。その後イヴ・モンタンと結婚したんですね、この女優さん。
後半は、胃が痛くなるような、一瞬一瞬が緊迫するサスペンス劇に突入します。
怖くて完成度の高い映画でした・・・。

廉価版のDVDが出てるので、リンクをはっときます: