映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

新藤兼人監督「母」88

1963年作品。
そういえばこれまだ見てなかった、と思って。

前置きを読むと、息子の病気の治療のためにうんと年上の男と再婚する母の計算高さ…のような映画だと思ったけど、映画のなかの母=乙羽信子は欲目を感じさせない愛情豊かな母です。タイちゃん…殿山泰司はその「うんと年上の夫」を演じているのですが、カッコ悪いけど気の優しい男です。妻はやがて、子どもの父として彼のことを受け入れることができるようになっていきます。夫を失ってしまっても、女にはやっぱり男が必要で、子どもを失うのは辛いけれど、子どもを産んで育てることは幸せだ。という監督の女性観がよく出ています。

今は女性が生きていく上で男性が“必要”ではないかもしれないけど、子どもを産んで育てることを幸福と感じる遺伝子がメスには当然ながら備わっていると思います。子どもを持てる人も持てない人もいるけど、ペットを抱いたときや人の世話をするときの充実感ってのは本能的にある。マザコンといっても過言ではない新藤監督らしい女性観。

いろいろあって、憎かったり辛かったりもするけど、家族って大切。と思えた映画でした。以上。