映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

日本映画(80年代まで)

川島雄三監督「わが町」2324本目

冒頭の南洋語りはちょっと見慣れない感じで面白い。 それが終わってタイトルが出てからは、急に関西弁で人情ものの世界。私はこの時代は知らないけど、まだがらんとした町なかの様子、いろいろあるけどみんな一生懸命だった時代の人たち、なんだか懐かしさが…

大島渚監督「青春残酷物語」2303本目

桑野みゆき演じる主人公が、パツパツでチャーミングなんだけど若い子らしく無鉄砲で、見ていてハラハラします。今のほうがこういう子を何とかしようという大人が少しは多くて、探してくれればNPOなんかも見つかると思うんだけど、この時代には「自己責任」ど…

小津安二郎「お茶漬の味」2296本目

ノワールといえそうな「東京暮色」を見たあとで「お茶漬の味」を見ると、なんだか教科書を読んでるような気持ちになる・・・。あまりに教訓的な起承転結のある作品です。制作はお茶漬1952年、東京暮色1957年、途中に東京物語1953年などがはさまってる。単純…

野村芳太郎 監督「張込み」2288本目

面白いなぁ。 全然期待しないで見たけど、なんでこんなに面白く感じるのか?大木実と宮口精二のコンビが地に足の着いた刑事たちらしく、旅館の人たちも銭湯の人たちも皆魅力的です。その中で、ひときわ地味で印象の薄い高峰秀子。いや、このままで終わるわけ…

長谷川和彦監督「青春の殺人者」2287本目

<ネタバレあり> 1976年の作品。すごい時代の映画だなぁ。今はもう作れない。プロデュースしたのが「復讐するは我にあり」の今村昌平というのが、なるほどです。放送禁止用語バリバリってことより、17歳の全裸というのが今は無理。15歳のデビュー作から脱い…

山下耕作 監督「博奕打ち 総長賭博」2282本目

人から薦められでもしないと見ないよなぁこのタイトル。 主役は鶴田浩二。亡くなってもう30年たつんですね。亡くなって5年の高倉健や菅原文太より、最近名前を聞かないなと思ったけど、この年月を考えると仕方ないのかもしれません。 この映画は仁侠映画に…

前田陽一監督「神様のくれた赤ん坊」2279本目

1979年の作品。桃井かおりが初々しくも度胸の据わった女を演じていて楽しい。樹木希林(もう「悠木千帆」じゃない)が置いていった男の子の父親を探す旅が、桃井かおりの子どもの頃の記憶をたどる旅につながり、ちょっとしんみりとしたりします。中国~九州…

川島雄三 監督「洲崎パラダイス 赤信号」2277本目

1956年の作品。 いいなぁー。新珠美千代の小賢しい“悪女の深情け”、轟由紀子のおかみさんは暖かくて最高だし、芦川いづみは可憐でかわいい。三橋達也と植村謙二郎は弱いところもあるけど朴訥ないい男。この人たちを見つめる監督の視線のやさしさ。 しかし新…

坂野義光 監督「ゴジラ対ヘドラ」2262本目

この映画は、私の映画原体験といってもいいかもしれない。怪獣大好きな幼児のころに親に連れられて映画館で見て、あまりの恐ろしさにトラウマになったという明確な記憶があります。 冒頭のヘドロの海が、九州の田舎者のチビには衝撃だったし、これは改めて見…

溝口健二監督「夜の女たち」2257本目

1948年、戦後すぐの作品。 田中絹代がパンパンの役を熱演しています。同じ監督の「赤線地帯」も切ない映画だったけど、この映画の女たちもひどい目にあっています。 家出をしてきた義理の妹の久美子が、声をかけてきた男に酒を飲まされて犯されて有り金を全…

大島渚監督「白昼の通り魔」2256本目

大島渚監督の映画ってときどき見たくなる。濃くてどろどろしてるんだけど、華やかで粘度は意外と低い。 この映画の小山明子(先生)と川口小夜(しのちゃん)はとても魅力的です。小山明子って、アヌーク・エーメ的なクール・ビューティですね。本当にきれい…

「恐怖劇場アンバランス1」2211−12本目(KINENOTE未登録)

円谷プロの1973年のテレビ作品。第一話、第二話が収録されています。豪華製作陣、豪華キャスト!昭和中期(こういう表現あまり見ないけど、きっとこれから使われていくに違いない)のクセのある映像、だんだん面白くなってきて、クセを気にせずに楽しめるよ…

山本薩夫 監督「忍びの者」2188本目

1962年の作品。市川雷蔵主演の、忍者映画ブームの先駆けとなった作品だそうです。 歌舞伎とかにありそうな、悪い親方と若い奥方、若くて有望な間男、お家や身分の関係、と行ったテーマなのですが、市川雷蔵がいつもだけど今度も素敵で、とても楽しめる作品で…

吉田喜重 監督「嵐を呼ぶ十八人」2178本目

1963年の映画。 白黒の画面はちょっと暗く感じるし、工場労働者たちの姿を見ると重たい社会派ドラマかと思うけど、この映画はむしろ当時の普通の若者たちの映画です。しばらく見てると、意外と新しい映画のように見えてきます。 この時代の工場労働者たちの…

手塚眞監督「星くず兄弟の伝説」2169本目

なんとも、つまらない映画だったなぁ。近田春夫の曲にはいいものもあるし、キャストも魅力的になれたはずなのに、何もかもが断片的でバラバラで、間がよくない。近田春夫が愛する「ファントム・オブ・パラダイス」(私も大好き)をイメージして作った、とい…

増村保造 監督「盲獣」2164本目

面白かったー。 船越英二ってこういうキャラだったっけ??いいお父さんだと思っていたら、こんな過去が・・・。緑魔子は怖い怪しいお姉さんだと思ってたけど、この映画の中では(十分怪しいのは置いといて)うら若いスリムで可愛い女の子だ。 前半は、ヌー…

小津安二郎監督「早春」2138本目

昔ってプラットフォームのずいぶん端っこまで人が立ってたんだなぁ!そんな駅で「電車の仲間」(ご近所さんなんだろうけど)ができたり、岸恵子のあだ名が「目玉が大きくてちょいとズベ公だから、金魚」だなんて。ちょっとリアルには想像できない日常です。 …

今井正監督「武士道残酷物語」2111本目

なんて激しいタイトル。でも思っていたのと全然違う内容でした。 確かに、侍が農民を切り捨てるようなタイトル通りの武士の残酷さも描かれますが、不倫に対する罰だったり、会社組織の厳しさだったり、「武士」より後にも続いてきた序列とか組織とかの残酷さ…

家城巳代治 監督「異母兄弟」2067本目

1957年の作品だけど、もっと昔の映画に見える。三國連太郎演じる軍人が威張って澄まし返っている感じが、戦後の映画じゃないみたい。 このとき三國連太郎34歳、田中絹代48歳。このお年にして16歳の女中の役がそれなりに見えてしまう。一流の歌舞伎の女形みた…

小津安二郎 監督「東京暮色」2056本目

久々の小津映画。一言でいうと「小津ってノワール系だったんだ」<ネタバレあり> 小津映画は上品な表面だけ見てもわからないというのを何度か聞いたことがあったけど、今日の今日まで(まあそうだけど)くらいにしか思ってませんでした。 この映画は最初か…

古沢憲吾 監督「大冒険」2017本目

<ネタバレあります> 1965年の日本映画。高度成長期のサラリーマンものですね。クレイジー・キャッツ結成10周年記念映画、と冒頭に赤字で大きく出ます。たった10年でこんな映画を作ってもらえる大スターってすごいですね。アイドル、とは違うけど。特殊技術…

沖田修一監督「モリのいる場所」2015本目

沖田監督好きだし、熊谷守一の絵も好きなんだけど、この映画はテンポがやたら遅く感じられる。私がいつも忙しくしてるからかもしれないけど、守一が歩いたりアリを観察したりするテンポより、音楽やセリフのテンポが早すぎるんだと思う。音楽のリズムで見て…

木下恵介監督「わが恋せし乙女」 2006本目

そうか、このタイトルは「私が愛した少女」という意味か。公開されたのは1946年10月、まさに戦争が終わってまもない日本だけど、この映画の舞台は、都会的な子どもたち、長じて男女が馬に乗ったり寝転んだりして、楽しく歌いあそぶ美しい山あいの風景。アル…

熊井啓 監督「海と毒薬」2003本目

予想と違う、おどろおどろしい始まり方。作ってる人が全然冷静じゃない感じ。こんなに重いテーマなのに、雰囲気重視の怪奇映画みたいだ。ゴケミドロだ。奥田瑛二も大学生?というくらい若いとはいえ1986年なのに(渡辺謙も若い) 、白黒なのでまるで第二次大…

野村芳太郎 監督「真夜中の招待状」2002本目

この映画を借りた理由は・・・多分、昔わりと好きだった小林麻美のことを思い出してみたかったからかな。みてみたら、綺麗だし少女っぽくてすごく可愛いですね。幼い頃の私が憧れたのは、少女マンガの主人公みたいに彼女が可憐だったからなんだな〜。 いつも…

増村保造 監督「くちづけ」2000本目

1957年の作品。 ジャケットのバイク二人乗りの写真、「ローマの休日」を思わせますね。すでに交際中だったという川口浩と野添ひとみの、瑞々しい演技がまぶしい映画です。 可愛くてスリムでどこか上品で、竹を割ったようなストレートな性格。この映画の野添…

森一生 監督「ある殺し屋」1980本目

1967年の作品。 うっかり続編「ある殺し屋の鍵」の方を見てしまったんだけど、こっちの方が評価が高いようなので、やっぱりこっちもレンタル。 不思議な魅力がある映画ですね。大映映画の暑苦しさが、市川雷蔵と成田三樹夫の涼しさで中和されていて、なんか…

森一生 監督「ある殺し屋の鍵」1958本目

1967年の作品。 同年に「ある殺し屋」という映画が公開されてて、これはその続編らしい。見る順番間違えたー。 気を取り直して。市川雷蔵の現代劇って「炎上」くらいちょい昔が舞台のものしか見たことないのでドキドキします。オープニングがまるで「ウルト…

野村芳太郎監督「配達されない3通の手紙」 1908本目

1979年の作品。脚本は新藤兼人。 今見ると違和感があるのは、蟇目良のエキゾチックな存在感の必要性がないこと。婚約者がいる妙齢の末娘が彼とずっと二人で探偵をやること。(婚約者が刑事なのに、ほったらかしで!) 長女が駆け落ちして外で暮らしてるって…

安田公義 監督「大魔神」1895本目

1966年の大映映画。 普通に、むかしの時代劇。このころの時代劇は、役者さんたちがまだ着物を着なれていて自然です。昔の日本の山々は、こういう少し濁った緑・茶系の色味だった、なんてことはないか。そうそう変わるわけないですね。当時の映画フィルムの色…