映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(90年代以降)

ヨルゴス・ランティモス 監督「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」2097本目

<ネタバレあり> こわ〜い映画。オカルトと分類されてもいい世界なのに、ポランスキー的ではなくミヒャエル・ハネケ的。コリン・ファレルやニコール・キッドマンといったいつものハリウッド映画の人たちが出てるから、「ファニー・ゲームUSA」って感じでし…

フランソワ・オゾン監督「2重螺旋の恋人」2096本目

ちょっとミステリアスな、女性視線のロマンティック・サスペンス、って感じでしょうか。神経質なクロエも、知的で優しいポールも、とても魅力的だけど、「ローズマリーの赤ちゃん」というほど謎は深くなく、オカルトにも超常現象にも流れていきません。結局…

ジョー・ライト監督「つぐない」2092本目

イギリスのドラマの強さだな・・・。<ネタバレあり。絶対に見る前に読んじゃダメ> シアーシャ・ローナンの、少女のころの感受性の強さに比べると、キーラ・ナイトレイもジェームズ・マカヴォイもわりと普通だなと感じながら 見ていたのに、最後の最後に泣…

シドニー・シビリア監督「いつだってやめられる 7人の危ない教授たち」2090本目

2014年のイタリア映画。 これはもう、設定勝ちですね。ポスドクの貧困は日本でも問題になってる。合成麻薬は禁止されるまではギリギリ捕まらずに作れるとしても、そんな高度な合成ができる人なんていない・・・いや、いるじゃん!食い詰めたポスドクたちが合…

アレクサンドル・アジャ 監督「ルイの9番目の人生」2076本目

映画館によく行ってた時期に予告編をなんども見たので、ずっと気になってた映画。こういう、静かでミステリアスで・・・なんだろう、アメリカに行くと夜中にやってる連続ドラマみたいな感じ。「パンズ・ラビリンス」みたいな、現実から逃げ出したい子どもの…

ロレーヌ・レヴィ 監督「もうひとりの息子」2075本目

そうか、「そして父になる」と近い時期に公開されたんだな。他の人たちの感想を見ると、比較してる人が多い。でも舞台を変えると隔たりが極端に大きくなる。 葛藤にドラマを感じる私たちのために、監督は残酷な舞台を用意した。イスラエル人とパレスチナ人っ…

フリドリック・トール・フリドリクソン 監督「春にして君を想う」2066本目

永瀬正敏が出てる「コールド・フィーバー」って映画を見て、もう1本見てみようと思ってレンタルしました。こっちの方が4年後の作品。静かでロマンチックなロードムービー。起承転結も特徴もないけど、なんとなく共感を覚える。北欧的なゆっくりした時間の流…

セドリック・クラピッシュ 監督「スパニッシュ・アパートメント」2061本目

ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥといった、私でも知ってるフランスの俳優が出てるフランス映画ですが、舞台はスペインのバルセロナ。ウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」のフレンチ・バージョン、ですかね。最初は学生たちの群像劇かなと思っ…

ミシェル・アザナヴィシウス 監督「グッバイ・ゴダール!」2038本目

ゴダールの二人目の妻だったアンヌ・ヴィアゼムスキーが書いた原作の映画化。 ゴダールの女性たちって素敵な人ばっかりだなぁ。最初の妻のアンナ・カリーナも三番目のアンヌ=マリー・ミエヴィルも、みな知的なクール・ビューティです。(ロジェ・ヴァディム…

ペドロ・アルモドバル 監督「バッド・エデュケーション」2037本目

同じ監督の「オール・アバウト・マイ・マザー」も割に複雑で、(なぜそう来る?)という不思議な構成の映画だったけど、この映画もとても不思議な作品です。 タイトルは原題のままだけど、映画のイメージから遠すぎるし、センスのいい映画だと予想できないの…

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督「ラブレス」 2035本目

愛のない家。愛のない家族。あまりにも、そのままなタイトル。 桐野夏生「柔らかい頬」の最後(ネタバレではないです)に、その後姿を消すことになる少女が、傷ついて、自分などどうなっても良いと思いながらふらふらと歩いているときに、犯人らしき人に声を…

ケン・ローチ監督「天使の分け前」2034本目

面白かった。でもハラハラした。ケン・ローチ監督の作品は、最後まで息苦しく涙が出るようなのが多いので、このヤンチャ者たちがひどい目にあうのかしら、でもコソ泥ばっかりやってるからある程度は制裁を受けるのも予想のうち・・・など、複雑な気持ちで見…

バンクシー監督「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」2031本目

<ネタバレだらけ> 面白い・・・バンクシーって面白いよ。 これ、マイケル・ムーアのパロディだよね?“斬新で自由な才能のストリート・アーティスト”だの“世の中の不正を暴くドキュメンタリー監督”だのを、徹底的におちょくってる。。。だってMBW=Mr. Brain…

フレドリック・トール・フリドリクソン 監督「コールド・フィーバー」2029本目

アイスランドと日本の伝統文化の中にある、弔いのしかたや霊魂の存在の共通点に、監督が興味を持って作ったという、ほぼ純粋なアイスランド映画だそうです。地質調査で滞在中の日本人研究者たちが、真夏に増水した川を車で渡り損なった事件をヒントにしたと…

エンゾ・モンテレオーネ 監督「炎の戦線 エル・アラメイン」2016本目

<ほぼネタバレ> イタリアの現代戦争映画って、見たことないので新鮮です。濃い顔でイタリア語を喋る兵士たち。大バカ者と言われそうだけど、(イタリア人も戦争するんだ・・・)正しくは(イタリアにも戦争映画があるんだ)という驚きがまずあります。 第…

ジャン・ピエール・ジュネ 監督「デリカテッセン」2012本目

「アメリ」の監督がその10年前、1991年に撮った作品。当時もこの映画わりと話題になってましたよね。ロックとかアートに興味がある人はみんな見てる、みたいな。(まんまと見逃してましたが) 今あらためて見てみて、グロいテーマだけど「コックと泥棒、その…

スティーヴン・フリアーズ 監督は「あなたを抱きしめる日まで」2005本目

レジェンド、ジュディ・デンチが「瞼の母」をやるらしい(昭和それも初期のことばだな)という予備知識だけで身始めました。でも、 もしかしてこれは・・・先月見た「オレンジと太陽」と同じテーマか?(そっちはイギリスからオーストラリアに強制労働に出さ…

ミゲル・ゴメス 監督「熱波」1996本目

なんか好きです、この映画の空気。 私はこういう、静かに情熱を秘めた感じの映画に弱い。事実をきっちり積み重ねておきながら、アフリカの人の「予言」が当たったり、理屈で説明できない恋に溺れたりする。人間だなぁ、って思う。 よく考えると、大したこと…

クリストフ・バラティエ 監督「コーラス」1993本目

暗いというか、光が足りないヨーロッパ的な画面。日照が弱いのかなぁ。 「池の底」っていう名前自体がひどい、フランスの子ども用寄宿舎。冷た〜い空気が蔓延するその場所に、見るからに愛嬌のあるおじさん教師が赴任してくる。彼は自分が書いていた曲を彼ら…

ダニス・タノビッチ 監督「鉄くず拾いの物語」1984本目

「ドキュメンタリーみたいだけど違う。再現映像だ。だから映画としてはよくない」という感想が結構あるみたいですね。この映画が日本で上映されたのが2014年。クリント・イーストウッド監督が、事件の当事者たちに演技をさせた「15時17分、パリ行き」を…

アラン・ロブ=グリエ 監督「グラディーヴァ マラケシュの裸婦」1982本目

最近のネットニュースで、この監督の作品が集中上映されるというのを見て興味を引かれたので、今借りられるのをとりあえず1本借りてみました。 やたらと「官能的」と書かれていますが、いやらしくもないし官能的とも思えず、アヘン窟みたいなゆったりとした…

エリック・ロメール監督「木と市長と文化会館 または七つの偶然」1979本目

フランス人って議論好きなのかな〜。 私がよくわからなかった「緑の光線」も、なんとなく”頭でっかち”な女の子がわだかまる映画だったけど、この映画でもあーだこーだとみんなそれぞれの理屈をこねたり、上手いことやろうとしたり、自然派だったり都会派だっ…

ジョー・ライト 監督「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」1975本目

ほんとだ、ゲイリー・オールドマンが太っちょの老人のチャーチルを演じてる。(ご冗談を!若い頃にシド・ヴィシャスを演じた男ですよ!)こんなおじいさんになってから首相に就任したの?可愛いタイピストはリリー・ジェームズ、「ベイビー・ドライバー」の…

ロバン・カンピヨ 監督「BPM ビート・パー・ミニット」1974本目

ジャケットしか見てなかったので、元気なヨーロッパのゲイの人たちの映画(例「パレードへようこそ」)かと思ってたら、「エイズ」が一番恐ろしかった時代の映画だった。 しかも、前半はACT-UPという活動団体の活動を描いた映画だと思っていたけど、やがて積…

ブノワ・ジャコー 監督「エヴァ」1971本目

怖いもの見たさ。イザベル・ユペールが出てる映画は、つい見てしまいます。ましてや今回、「たかが世界の終わり」で惚れてしまったギャスパー・ウリエルにまた逢えるとなれば・・・。 しかしイザベル・ユペール65歳、いつまで官能的な役どころをやり続けるの…

ジル・ミモーニ監督「アパートメント」1965本目

フランス語の映画なので、タイトルは「ル・アパルトマン」にしてくれた方が、フランスっぽかったんだが・・・。主役はヴィンセントではなくヴァンサン・カッセルなのに。 男ストーカーと女ストーカーの映画。アリスは感情の起伏が激しいというより、何が何で…

マシュー・パークヒル 監督「dot the I/ドット・ジ・アイ」1962本目

ガエル君の出てる映画をかたっぱしからリストに入れた時のだ。なんてオシャレな映画でしょう。すごくチャーミングな彼女が、なぜかダークスーツにつけ髭。これがまたドキッとします。そんな彼女に事故のように「独身最後のキス」の相手として選ばれたのがガ…

ジム・ローチ 監督「オレンジと太陽」1960本目

ジム・ローチは、社会派映画で有名なケン・ローチ監督の息子だそうです。 この映画もお父さんの映画と同様、隠されてきた過去のイギリスの真実を描いていて、胸をえぐられます。エミリー・ワトソンやヒューゴ・ウィービングといった実力のある俳優たちが、感…

デヴィッド・クローネンバーグ 監督「イースタン・プロミス」1959本目

クローネンバーグ監督ってすごく奇妙な映画を撮る監督ってイメージだったけど、この映画の次に作った「危険なメソッド」はむしろクラシックな映画だった。この映画も、厳しい環境にさらされた人々を冷たくも甘くもない視線で見守る映画でした。 ナオミ・ワッ…

ジュリア・ロクテフ 監督「ロンリエスト・プラネット 孤独な惑星」1957本目

ガエル・ガルシア・ベルナル君と彼女が旅しているのは地球の上のどこだろう?ジョージアかな(アメリカの州じゃなくてコーカサス三国。元「グルジア」)。通貨単位が「ラリ」だし、ありがとうが「ガーマルチョパ」だし。だいぶ進んだところでガイドが「グル…