映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(90年代以降)

ダニー・ボイル監督「イエスタディ」2322本目

ふーむ。設定は面白いし、リリー・ジェームズは可愛いし、ヒメーシュ・パテルは可笑しいし、終わってほんわかするけど、ダニー・ボイルってこんなにヒネリを利かせない監督だったっけ?「スコットランドで一番汚いトイレ」みたいなインパクト、あけすけな生…

ペドロ・アルモドバル監督「私が、生きる肌」2309本目

おもしろい映画を撮る監督が、ベテランになって今度は「普通の人々」と違う特別な設定をしたくなってこんな映画作っちゃったのかな?とも思ったけど、この映画は珍しく原作があるから、いつもとちょっと違うテイストというか方向性になったんだろうな。 アン…

ペドロ・アルモドバル監督「私の秘密の花」2308本目

またアルモドバル監督の映画。そのうち全部見てしまうだろう。面白いんだ、この人の映画は。毎回何かびっくりするところがある。この映画もやっぱり面白かった。ちゃんと見てないとなんだかキツネにつままれたような感じになるけど(昏睡状態の息子の話は、…

是枝裕和監督「真実」2304本目

賞をとった監督がすぐに外国の俳優で撮る映画は、ふだんの映画より面白くないというジンクスが私の中にあって(偏見かな)、かなりドキドキしながら見ましたが、是枝監督のドラマチックな作品(「誰も知らない」「万引き家族」とか・・・少なくとも中で誰か…

アニエス・ヴァルダ 監督「顔たち、ところどころ」2283本目

顔がたくさん、場所もたくさん、というのが原題なので、邦題はじつは直訳。顔たちがところどころにあるんじゃなくて、顔も「ところ」もいろいろ、という意味ですね? このおばちゃんとお兄ちゃんがどういう人なのか、全然知らないまま見ました。普通っぽいポ…

アレクセイ・ゲルマン 監督「神々のたそがれ」2271本目

泥まみれの悪いテーマパークみたいだ。ギリギリ、大丈夫なところに線を引いてその中で映像を作っているので、突然の死や残酷な映像をびくびくと恐れながら見る必要はない。柵の中からジャングルを覗いてる観客みたいな気持ちで見ればいい。 こういう映画って…

マイク・リー 監督「家族の庭」2270本目

痛いお話。日本でも40代、50代の女性の数名に一人がメアリーになりうる。 ここまでしぶとく、ひとつの家庭に入り込もうとしないで、途中であきらめる人ならその倍はいる。トム&ジェリーの夫妻は、冷静なように見えても、50の同僚が30の息子に手を出そうとし…

マイク・ニューウェル 監督「ガーンジー島の読書会の秘密 」2269本目

原題の直訳=会の名前は「ガーンジー島 文学と芋皮パイクラブ」か。 面白かったし、いい映画だった。 英国のはしっこの小さな島の「読書会」というだけで、思索深くユニークで地域に根差した、何かすごく珍しくて面白いことが始まる予感がしますよね。 推理…

パトリス・ルコント監督「スーサイド・ショップ」2268本目

えっパトリス・ルコントが監督?「髪結いの亭主」の?ということは安心して見ていいやつだな・・・。 テイストは「アダムス・ファミリー」とか「ナイトメア・ビフォー・クリスマス」と同じで、どうやったらポジティブを避けられるか考えて考えて作ったアニメ…

フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 監督「善き人のためのソナタ」2267本目

感動した・・・。こういうふうに、感情を抑えて抑えて作られた静かな映画ほど、深く刺さる。 東ベルリン出身の知り合いの夫妻は、壁が崩壊する前に教育を受けたので英語がほとんど話せない。仲良くなっても、当時のことは決して話さない。ベルリンで当時の生…

ハーフシュテイン・グンナル・シーグルズソン監督「隣の影」 2241本目

アイスランド映画とは珍しい。先週旅行して帰ってきたところなので、延々と広がる溶岩台地、美しい流氷、あるいはやたらと人気のレイキャビクのホットドッグなど、感動を新たにできたりするかしらと期待して見に行ってきました。 アイスランド映画といえば見…

アスガー・ファルハディ監督「誰もがそれを知っている」2236本目

このタイトル、「予告された殺人の記録」みたいだな。あのお話では、ある人がある人を殺すために探し歩いていて、何人かはそれを阻止しようとしているのに阻止できない。この映画では、誰にも言っていなかった秘密のはずのことを、実は長年みんな噂していた…

ペドロ・アルモドバル 監督「トーク・トゥ・ハー」2213本目

アルモドバル監督の視点は、面白いわ。今までは、ラテン・ヨーロッパ的だなとか思ってただけだったけど、繊細にものごとを観察して、おや?と引っかかったところを掘り下げる人なんだな。 <以下さっそくネタバレ> その視点がすごくニッチなんだけど、「言…

フランソワ・オゾン監督「婚約者の友人」2207本目

この映画のタイトルと、エルンスト・ルビッチの旧作のタイトルを見ると、それだけでネタバレになるという不幸・・・。 <ていうかこの後もネタバレ> 登場人物に感情移入をすればするほど痛く苦しい映画で、アンナと同行して映画を進めていくと(注:感情移…

ペドロ・アルモドバル監督「ボルベール 帰郷」2203本目

愉快だな〜。Desigualのデザイン(スペインのブランドだもんね)みたいな黒地に百花繚乱の色づかい。ペネロペ・クルス演じるライムンダの肝っ玉の強さ。理屈じゃない、女系家族の徹底した男運の悪さ。画面いっぱいの女たちのたくましさを見ているだけで、何…

アーマンド・イアヌッチ 監督「スターリンの葬送狂騒曲」2202本目

マイケル・ペイリンが出てると聞いただけで、キッツイ英国ユーモアの映画かなと思い、スティーブ・ブシェミが出てると聞くと、わざと悪趣味にアメリカ的軽薄さを嗤う映画かなと思う。で、舞台はソビエトでスターリンが死ぬと来た。どうやってまとめるんだろ…

ビレ・アウグスト 監督「愛の風景」2180本目

イングマール・ベルイマンの映画には、神(キリスト教的な)が常にいる。言い方は悪いけど、神にたたられていると思うくらい、逃れられない。その彼の育ってきた環境を、彼自身が、彼の両親の出会いから描いたのがこの映画。自分を語るうえで、両親の育ちや…

フランソワ・オゾン監督「危険なプロット」2173本目

なるほど。この監督のことがやっと少しイメージできてきた(単なる主観かつ私見)。 美しいものを描きたいだけじゃないけど、醜いものは一切描かない。外観は端正で、中身がぐちゃぐちゃ、というのはOK、というよりむしろ好む。むしろお行儀よく美しく振る舞…

カーク・ジョーンズ監督「ウェイクアップ! ネッド」2171本目

ネッド起きろ!死んでる場合じゃないぞ!(笑) マン島という“地の果て”感のある小さな島で起こる一生一代の大事件。騒ぎ、慌てふためく彼らの人の良さが、なんともいい感じです。 まあ、ストーリーは予想通りなんだけどさ。でもそれがいいじゃないですか。 …

フランソワ・オゾン監督「スイミング・プール」2170本目

これが2003年。シャーロット・ランプリングは「まぼろし」が2001年、「さざなみ」が2015年か。彼女の美しさを余すところなく描いた「まぼろし」の2年後は、こんなお局ふうのおばさん焼くかぁ。オゾン監督おもしろいな。リュディヴィーヌ・サニエは「8人の女…

フランソワ・オゾン監督「まぼろし」2166本目

これはシャーロット・ランプリングを見つめつづけるための映画だな。 55歳になった彼女は、自分に似合う髪型やメイクや服装を知っている。涼やかでおしゃれで美しく、大人として振る舞える。大人になった彼女の愛情は成熟している。夫の突然の喪失は、大きく…

ジャン=ピエール・ダルデンヌ 監督「ある子供」2147本目

2005年のベルギー・フランス映画。今から14年前。 自分の赤ちゃんが「売られる」というのは、親にとって何より許しがたいこと、と想像します。幼くても母親のほうは卒倒するほどのショックを受けるけど、 父親にはその重みがまだちっともピンとこない。そし…

フランソワ・オゾン 監督「8人の女たち」2145本目

うわー、フランス的!冒頭のタイトルのバックは、女優一人ずつ大輪の花、花。ドラマが始まっても、やたら鮮明で濃いカラフルな色合いの室内に、華やかで自己主張の強い大輪の女優たちがひしめいています。何これ! 貫禄だらけのカトリーヌ・ドヌーヴ、お堅い…

マイケル・ラドフォード 監督「イル・ポスティーノ」2141本目

1994年のイタリア映画。イタリアの小島に亡命してきたチリの共産党員の詩人と、島の郵便配達人との素朴な友情を描いた作品。こういう素朴な映画ってわりと好き。優しい気持ちになります。 パブロ・ネルーダはノーベル賞を受賞した偉大なる詩人だそうです。共…

クリスティアン・ムンジウ 監督「4ヶ月、3週と2日」2135本目

映画の冒頭の、二人の女子学生の部屋がすごく印象的。 窓際においたテーブルの上に、箱型のsんプルな水槽があって、金魚が二匹泳いでる。水槽の奥の面には風景写真が貼り付けてあるので、ヨーロッパの街並みを金魚がひらひらと泳いでるような、不思議に美し…

ヨアキム・トリアー 監督「テルマ」2133 本目

<ネタバレだらけ注意> 新しい切り口。 異形のものを珍しがったり面白おかしく取り上げるようなことを映画ではもうしない、と決意した人たちがいる。この映画では、自分でコントロールできない強力な超能力をもった少女は、その能力を中心に描かれることは…

マイク・リー監督「ターナー、光に愛を求めて」2129本目

ロンドンに滞在した間、テート・ギャラリー(今はテート・ブリテンと名前が変わった)に何度も行くうちにすっかりターナーのファンになってしまった私ですが、若い頃に自分を絶世の美青年として描いた自画像にだまされて、最近まで「素敵、ターナーさま」と…

イエジー・スコリモフスキ監督「エッセンシャル・キリング」2128本目

ヨーロッパ4カ国の共同制作。スコリモフスキ監督は非・ハリウッド的で挑戦的な映画を作り続けてる監督だと思うのですが、この映画を作った意図はなんだったんだろう。タイトルを訳すと「必要な殺人」。それは、アメリカ人を殺したアラブ系の男を殺すこと?…

ブルノ・ユラン 監督「ファイアbyルブタン」2104本目

アート映画というジャンルになるらしい。冒頭に現れるのは、ルブタンのブーツを履いた半裸の美しい衛兵たち。 優雅な行進をしていても、正直、華麗なる靴より、ぷるぷると揺れるおっぱいの方が気になります。。。次は前髪ぱっつんの黒髪の美女によるストリッ…

シドニー・シビリア 監督「いつだってやめられる 闘う名誉教授たち」2103本目

満を持して第3作=最終作。 いつも音楽に勢いがあっていいね。音楽だけは英語で、欧米というより英米の新しい楽曲が時々大きく流れる。それ以外の場面は基本、音楽なし。この感じが、ずっとムード音楽を流すことで映像のムードを決めてしまうアメリカや日本…