映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヨーロッパ映画(90年代以降)

ジャン=ピエール・ダルデンヌ 監督「ある子供」2147本目

2005年のベルギー・フランス映画。今から14年前。 自分の赤ちゃんが「売られる」というのは、親にとって何より許しがたいこと、と想像します。幼くても母親のほうは卒倒するほどのショックを受けるけど、 父親にはその重みがまだちっともピンとこない。そし…

フランソワ・オゾン 監督「8人の女たち」2145本目

うわー、フランス的!冒頭のタイトルのバックは、女優一人ずつ大輪の花、花。ドラマが始まっても、やたら鮮明で濃いカラフルな色合いの室内に、華やかで自己主張の強い大輪の女優たちがひしめいています。何これ! 貫禄だらけのカトリーヌ・ドヌーヴ、お堅い…

マイケル・ラドフォード 監督「イル・ポスティーノ」2141本目

1994年のイタリア映画。イタリアの小島に亡命してきたチリの共産党員の詩人と、島の郵便配達人との素朴な友情を描いた作品。こういう素朴な映画ってわりと好き。優しい気持ちになります。 パブロ・ネルーダはノーベル賞を受賞した偉大なる詩人だそうです。共…

クリスティアン・ムンジウ 監督「4ヶ月、3週と2日」2135本目

映画の冒頭の、二人の女子学生の部屋がすごく印象的。 窓際においたテーブルの上に、箱型のsんプルな水槽があって、金魚が二匹泳いでる。水槽の奥の面には風景写真が貼り付けてあるので、ヨーロッパの街並みを金魚がひらひらと泳いでるような、不思議に美し…

ヨアキム・トリアー 監督「テルマ」2133 本目

<ネタバレだらけ注意> 新しい切り口。 異形のものを珍しがったり面白おかしく取り上げるようなことを映画ではもうしない、と決意した人たちがいる。この映画では、自分でコントロールできない強力な超能力をもった少女は、その能力を中心に描かれることは…

マイク・リー監督「ターナー、光に愛を求めて」2129本目

ロンドンに滞在した間、テート・ギャラリー(今はテート・ブリテンと名前が変わった)に何度も行くうちにすっかりターナーのファンになってしまった私ですが、若い頃に自分を絶世の美青年として描いた自画像にだまされて、最近まで「素敵、ターナーさま」と…

イエジー・スコリモフスキ監督「エッセンシャル・キリング」2128本目

ヨーロッパ4カ国の共同制作。スコリモフスキ監督は非・ハリウッド的で挑戦的な映画を作り続けてる監督だと思うのですが、この映画を作った意図はなんだったんだろう。タイトルを訳すと「必要な殺人」。それは、アメリカ人を殺したアラブ系の男を殺すこと?…

ブルノ・ユラン 監督「ファイアbyルブタン」2104本目

アート映画というジャンルになるらしい。冒頭に現れるのは、ルブタンのブーツを履いた半裸の美しい衛兵たち。 優雅な行進をしていても、正直、華麗なる靴より、ぷるぷると揺れるおっぱいの方が気になります。。。次は前髪ぱっつんの黒髪の美女によるストリッ…

シドニー・シビリア 監督「いつだってやめられる 闘う名誉教授たち」2103本目

満を持して第3作=最終作。 いつも音楽に勢いがあっていいね。音楽だけは英語で、欧米というより英米の新しい楽曲が時々大きく流れる。それ以外の場面は基本、音楽なし。この感じが、ずっとムード音楽を流すことで映像のムードを決めてしまうアメリカや日本…

シドニー・シビリア監督「いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち」2102本目

「いつだってやめられる」シリーズ第2作。最初の作品は、食い詰めた研究者たちが思い余ってスマート・ドラッグの研究開発販売に乗り出す、という素晴らしい設定の愉快な映画でした。続編がどうくるか?と思ったら、再びの「なるほど感」、司法取引を行なっ…

ヨルゴス・ランティモス 監督「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」2097本目

<ネタバレあり> こわ〜い映画。オカルトと分類されてもいい世界なのに、ポランスキー的ではなくミヒャエル・ハネケ的。コリン・ファレルやニコール・キッドマンといったいつものハリウッド映画の人たちが出てるから、「ファニー・ゲームUSA」って感じでし…

フランソワ・オゾン監督「2重螺旋の恋人」2096本目

ちょっとミステリアスな、女性視線のロマンティック・サスペンス、って感じでしょうか。神経質なクロエも、知的で優しいポールも、とても魅力的だけど、「ローズマリーの赤ちゃん」というほど謎は深くなく、オカルトにも超常現象にも流れていきません。結局…

ジョー・ライト監督「つぐない」2092本目

イギリスのドラマの強さだな・・・。<ネタバレあり。絶対に見る前に読んじゃダメ> シアーシャ・ローナンの、少女のころの感受性の強さに比べると、キーラ・ナイトレイもジェームズ・マカヴォイもわりと普通だなと感じながら 見ていたのに、最後の最後に泣…

シドニー・シビリア監督「いつだってやめられる 7人の危ない教授たち」2090本目

2014年のイタリア映画。 これはもう、設定勝ちですね。ポスドクの貧困は日本でも問題になってる。合成麻薬は禁止されるまではギリギリ捕まらずに作れるとしても、そんな高度な合成ができる人なんていない・・・いや、いるじゃん!食い詰めたポスドクたちが合…

アレクサンドル・アジャ 監督「ルイの9番目の人生」2076本目

映画館によく行ってた時期に予告編をなんども見たので、ずっと気になってた映画。こういう、静かでミステリアスで・・・なんだろう、アメリカに行くと夜中にやってる連続ドラマみたいな感じ。「パンズ・ラビリンス」みたいな、現実から逃げ出したい子どもの…

ロレーヌ・レヴィ 監督「もうひとりの息子」2075本目

そうか、「そして父になる」と近い時期に公開されたんだな。他の人たちの感想を見ると、比較してる人が多い。でも舞台を変えると隔たりが極端に大きくなる。 葛藤にドラマを感じる私たちのために、監督は残酷な舞台を用意した。イスラエル人とパレスチナ人っ…

フリドリック・トール・フリドリクソン 監督「春にして君を想う」2066本目

永瀬正敏が出てる「コールド・フィーバー」って映画を見て、もう1本見てみようと思ってレンタルしました。こっちの方が4年後の作品。静かでロマンチックなロードムービー。起承転結も特徴もないけど、なんとなく共感を覚える。北欧的なゆっくりした時間の流…

セドリック・クラピッシュ 監督「スパニッシュ・アパートメント」2061本目

ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥといった、私でも知ってるフランスの俳優が出てるフランス映画ですが、舞台はスペインのバルセロナ。ウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」のフレンチ・バージョン、ですかね。最初は学生たちの群像劇かなと思っ…

ミシェル・アザナヴィシウス 監督「グッバイ・ゴダール!」2038本目

ゴダールの二人目の妻だったアンヌ・ヴィアゼムスキーが書いた原作の映画化。 ゴダールの女性たちって素敵な人ばっかりだなぁ。最初の妻のアンナ・カリーナも三番目のアンヌ=マリー・ミエヴィルも、みな知的なクール・ビューティです。(ロジェ・ヴァディム…

ペドロ・アルモドバル 監督「バッド・エデュケーション」2037本目

同じ監督の「オール・アバウト・マイ・マザー」も割に複雑で、(なぜそう来る?)という不思議な構成の映画だったけど、この映画もとても不思議な作品です。 タイトルは原題のままだけど、映画のイメージから遠すぎるし、センスのいい映画だと予想できないの…

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督「ラブレス」 2035本目

愛のない家。愛のない家族。あまりにも、そのままなタイトル。 桐野夏生「柔らかい頬」の最後(ネタバレではないです)に、その後姿を消すことになる少女が、傷ついて、自分などどうなっても良いと思いながらふらふらと歩いているときに、犯人らしき人に声を…

ケン・ローチ監督「天使の分け前」2034本目

面白かった。でもハラハラした。ケン・ローチ監督の作品は、最後まで息苦しく涙が出るようなのが多いので、このヤンチャ者たちがひどい目にあうのかしら、でもコソ泥ばっかりやってるからある程度は制裁を受けるのも予想のうち・・・など、複雑な気持ちで見…

バンクシー監督「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」2031本目

<ネタバレだらけ> 面白い・・・バンクシーって面白いよ。 これ、マイケル・ムーアのパロディだよね?“斬新で自由な才能のストリート・アーティスト”だの“世の中の不正を暴くドキュメンタリー監督”だのを、徹底的におちょくってる。。。だってMBW=Mr. Brain…

フレドリック・トール・フリドリクソン 監督「コールド・フィーバー」2029本目

アイスランドと日本の伝統文化の中にある、弔いのしかたや霊魂の存在の共通点に、監督が興味を持って作ったという、ほぼ純粋なアイスランド映画だそうです。地質調査で滞在中の日本人研究者たちが、真夏に増水した川を車で渡り損なった事件をヒントにしたと…

エンゾ・モンテレオーネ 監督「炎の戦線 エル・アラメイン」2016本目

<ほぼネタバレ> イタリアの現代戦争映画って、見たことないので新鮮です。濃い顔でイタリア語を喋る兵士たち。大バカ者と言われそうだけど、(イタリア人も戦争するんだ・・・)正しくは(イタリアにも戦争映画があるんだ)という驚きがまずあります。 第…

ジャン・ピエール・ジュネ 監督「デリカテッセン」2012本目

「アメリ」の監督がその10年前、1991年に撮った作品。当時もこの映画わりと話題になってましたよね。ロックとかアートに興味がある人はみんな見てる、みたいな。(まんまと見逃してましたが) 今あらためて見てみて、グロいテーマだけど「コックと泥棒、その…

スティーヴン・フリアーズ 監督は「あなたを抱きしめる日まで」2005本目

レジェンド、ジュディ・デンチが「瞼の母」をやるらしい(昭和それも初期のことばだな)という予備知識だけで身始めました。でも、 もしかしてこれは・・・先月見た「オレンジと太陽」と同じテーマか?(そっちはイギリスからオーストラリアに強制労働に出さ…

ミゲル・ゴメス 監督「熱波」1996本目

なんか好きです、この映画の空気。 私はこういう、静かに情熱を秘めた感じの映画に弱い。事実をきっちり積み重ねておきながら、アフリカの人の「予言」が当たったり、理屈で説明できない恋に溺れたりする。人間だなぁ、って思う。 よく考えると、大したこと…

クリストフ・バラティエ 監督「コーラス」1993本目

暗いというか、光が足りないヨーロッパ的な画面。日照が弱いのかなぁ。 「池の底」っていう名前自体がひどい、フランスの子ども用寄宿舎。冷た〜い空気が蔓延するその場所に、見るからに愛嬌のあるおじさん教師が赴任してくる。彼は自分が書いていた曲を彼ら…

ダニス・タノビッチ 監督「鉄くず拾いの物語」1984本目

「ドキュメンタリーみたいだけど違う。再現映像だ。だから映画としてはよくない」という感想が結構あるみたいですね。この映画が日本で上映されたのが2014年。クリント・イーストウッド監督が、事件の当事者たちに演技をさせた「15時17分、パリ行き」を…