映画と人とわたし

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イ・ハ監督「家を出た男たち」2149本目

面白かった。韓国版「ジャンプ(原作、佐藤正午)」みたいな、妻を探し求めるロードムービーで、コメディなんだけどシリアスな部分もある。いかにも女性にモテそうなチ・ジニ(テレビの「チャングム」の官僚ですね)に、同行する三枚目の友人は俳優としても…

佐向大監督「教誨師」2148本目

大杉漣ってやっぱりいいね。まっすぐに、心からの言葉として、役の言葉を言えるのが素晴らしい。この映画は役者さんがみんないいです。五頭岳夫というんですね、あの汚れたトレーナーを着た年配のおじさん。実際いるんだろうな、わるい人たちの悪意をいっぱ…

ジャン=ピエール・ダルデンヌ 監督「ある子供」2147本目

2005年のベルギー・フランス映画。今から14年前。 自分の赤ちゃんが「売られる」というのは、親にとって何より許しがたいこと、と想像します。幼くても母親のほうは卒倒するほどのショックを受けるけど、 父親にはその重みがまだちっともピンとこない。そし…

サム・ライミ監督「XYZマーダーズ」2146本目

冒頭、いや、タイトルからB級の匂い。すごく低い点をつけたい衝動がムズムズするけど、私は嫌いじゃないなぁ〜。コーエン兄弟xロバート・ロドリゲス、マイナス50、みたいな感じで、とことんバカバカしく、ドッカンドッカンやろう!という勢いが好き。ポール…

フランソワ・オゾン 監督「8人の女たち」2145本目

うわー、フランス的!冒頭のタイトルのバックは、女優一人ずつ大輪の花、花。ドラマが始まっても、やたら鮮明で濃いカラフルな色合いの室内に、華やかで自己主張の強い大輪の女優たちがひしめいています。何これ! 貫禄だらけのカトリーヌ・ドヌーヴ、お堅い…

エルンスト・ルビッチ監督「生きるべきか死ぬべきか」2144本目

1942年のハリウッドで作られた反戦映画。7年前に一度見たときには、第二次大戦真っ最中にこれほど挑戦的な映画を作れるアメリカってすごい!と衝撃を受けたことだけはよく覚えてます。 キャロル・ロンバードがすごく綺麗。いつもドレスアップしている女優の…

パク・フンジョン 監督「新しき世界」2143本目

2013年の韓国映画。 韓国って国は、本当に表面しか知らないので(他のどの外国もそうだけど)、賑やかな都会や平和な山あい以外の、特にアウトローの世界ってグイグイ惹かれますね。 でもこの映画とはあまり相性が良くなかったみたい・・・人物はわりあい清…

ジョージ・ミラー監督「イーストウィックの魔女たち」2142本目

大丈夫、がっかりしたりしません!最初から娯楽気分で見てるから。<ネタバレあり> タイトルはむかーしから知ってたし、魔女の一人がシェールだということも覚えてたけど、悪魔がジャック・ニコルソンかぁ。シャイニングとか「郵便配達」の影響かしら。あと…

マイケル・ラドフォード 監督「イル・ポスティーノ」2141本目

1994年のイタリア映画。イタリアの小島に亡命してきたチリの共産党員の詩人と、島の郵便配達人との素朴な友情を描いた作品。こういう素朴な映画ってわりと好き。優しい気持ちになります。 パブロ・ネルーダはノーベル賞を受賞した偉大なる詩人だそうです。共…

グレゴリー・ホブリット 監督「オーロラの彼方へ」2140本目

原題は「frequency」。ここでは「周波数」ですね。日本語にしてしまうと身もふたもない。 邦題は映画の内容が全く想像できないタイトルになってしまってますが、オーロラはこの映画の中でかなり重要な要素です。ニューヨークでオーロラが見える頻度ってどれ…

ロバート・アルドリッチ 監督「何がジェーンに起ったか?」2139本目

怖い映画ですね〜。「ドラキュラ」みたいな昔のホラー映画並みに怖いです。老女であり狂女であるという役柄の描き方は、モンスターのようで、その人間的な背景については最後の最後まで見えてこない。ベティ・デイヴィスやジョーン・クロフォードのようなプ…

小津安二郎監督「早春」2138本目

昔ってプラットフォームのずいぶん端っこまで人が立ってたんだなぁ!そんな駅で「電車の仲間」(ご近所さんなんだろうけど)ができたり、岸恵子のあだ名が「目玉が大きくてちょいとズベ公だから、金魚」だなんて。ちょっとリアルには想像できない日常です。 …

ウィリアム・ワイラー 監督「黄昏」2137本目

不倫のお話だったのね。田舎からシカゴに出てきたばかりの純情なキャリー(ジェニファー・ジョーンズ)は、工場の作業に馴染めずすぐに首に。列車の中で知り合った男にうまく愛人にされた彼女を見かねて、高級レストランのオーナー、ジョージ(ローレンス・…

チャン・ジュナン 監督「1987、ある闘いの真実」2136本目

こういう感動って、今の日本にはないよな。ない方がいいのはもちろんなんだけど。拷問があると知ったとして、まず私たちにないのは、怒るパワーかもしれない。卑近な例だけど、色々うまくいかなかった頃、何を言われても怖いだけで怒りを感じなくなってた時…

クリスティアン・ムンジウ 監督「4ヶ月、3週と2日」2135本目

映画の冒頭の、二人の女子学生の部屋がすごく印象的。 窓際においたテーブルの上に、箱型のsんプルな水槽があって、金魚が二匹泳いでる。水槽の奥の面には風景写真が貼り付けてあるので、ヨーロッパの街並みを金魚がひらひらと泳いでるような、不思議に美し…

ローソン・マーシャル・サーバー 監督「スカイスクレイパー」2134本目

純粋なハリウッド娯楽映画なんだけど、いろんな時代の波が感じられて興味深い。 ”ブラック・エクスプロテイション”映画とその流れを汲む映画以外で、主人公のヒーローがアフリカ系という画面が見慣れないんだけど、それにも増して見慣れないのが、彼の妻が”…

ヨアキム・トリアー 監督「テルマ」2133 本目

<ネタバレだらけ注意> 新しい切り口。 異形のものを珍しがったり面白おかしく取り上げるようなことを映画ではもうしない、と決意した人たちがいる。この映画では、自分でコントロールできない強力な超能力をもった少女は、その能力を中心に描かれることは…

キム・ギドク監督「悪い男」2132本目

2001年の韓国映画。 坊主頭のヤクザを演じるチョ・ジェヒョンの風貌はわりと「濃い系」。韓国ってふわっと長身な人が多い印象があるけど、彼はもう少し南の人に見える。香港とか? 相手の清楚な女の子はソ・ウォン。怒った顔がキュートです。いつの時代か知…

マーティン・スコセッシ監督「アフターアワーズ」2131本目

1985年のアメリカ映画。 マーティン・スコセッシがこういう映画も作るのね。日常生活のなかで、ちょっぴり冒険心を起こしたロザンナ・アークエットって何に出てたんだっけ・・・このコケティシュな感じ。彼女に誘われたら、手持ちのお金がなくても夜中に出か…

エリオット・ニュージェント 監督「暗黒街の巨頭」2130本目

1948年、戦後すぐのアメリカ映画。 レオナルド・デカプリオ版とロバート・レッドフォード版の「華麗なるギャツビー」を見た後、例の大きな眼鏡の看板がこの映画でも大きい存在感なのか?がどうしても知りたくて、これもレンタルして見ました。 そうしたら、…

マイク・リー監督「ターナー、光に愛を求めて」2129本目

ロンドンに滞在した間、テート・ギャラリー(今はテート・ブリテンと名前が変わった)に何度も行くうちにすっかりターナーのファンになってしまった私ですが、若い頃に自分を絶世の美青年として描いた自画像にだまされて、最近まで「素敵、ターナーさま」と…

イエジー・スコリモフスキ監督「エッセンシャル・キリング」2128本目

ヨーロッパ4カ国の共同制作。スコリモフスキ監督は非・ハリウッド的で挑戦的な映画を作り続けてる監督だと思うのですが、この映画を作った意図はなんだったんだろう。タイトルを訳すと「必要な殺人」。それは、アメリカ人を殺したアラブ系の男を殺すこと?…

高橋伴明 監督「愛の新世界」2127本目

楽しかった! 25年前の渋谷の女王様・ホテトル嬢・小劇団といった様々な人々の、欲や見栄や楽しみやモヤモヤ。小劇団系のいろんな人たちが入れ替わり立ち替わり出てるのも楽しい。 萩原流行もいいな・・・。クレジットされてないのにクドカンが出てるし・・…

瀬々敬久 監督「友罪」2126本目

この監督の作品には、「8年越しの花嫁」や「64」があり、「ヘヴンズ・ストーリー」やこの「友罪」がある。私は後者のほうが好きで、この映画は割と良かった。でもタイトルは「友罪」(友のためにおかす罪)じゃなくて「罪友」(罪を負ったものどうし)だよ…

リドリー・スコット監督「ブレードランナー ファイナル・カット」 2125本目

改めて、美術の素晴らしさに驚きますね。予算不足だなんて信じられない。最初はドン引きした「協力わかもと」のサイネージ(という言葉ができたのも最近だけど)も美しく感じる。未来的だけど落ちついたヴァンゲリスの音楽も素晴らしい。セットの安っぽさを…

チャールズ・デ・ラウジリカ 監督「デンジャラス・デイズ:メイキング・オブ・ブレードランナー」2124本目

ボリュームたっぷりだし、監督やメインキャスト、プロデューサー等々、この映画を作った主要な人たちがたくさん出てるので豪華です。普通にレンタルDVDに入ってる10分のインタビューとは違う。と言っても、それ以上に特に構成されてるわけでもない。 BSプレ…

濱口竜介 監督「寝ても覚めても」2123本目

演技経験のほとんどない人たちを使って撮った実験的な「ハッピーアワー」の監督じゃないですか。今回はきっちり作った映画ですね。 東出昌大はいまや定番の若手俳優だけど、相手方の唐田えりかの初々しいこと。こういう、地味めで清楚な子って韓国映画ではよ…

ジアド・ドゥエイリ 監督「判決、ふたつの希望」2122本目

レバノンとパレスチナの関係性なんて考えたことなかった。地図で見たらまさに隣り合ってるんですね。レバノンはイスラエルよりもシリアよりも小さい国なのに、どちらからも難民が流れ込んできていて、人口の10%に達してるという。現状に満足していない地元…

ナタウット・プーンピリヤ 監督「バッド・ジーニアス 危険な天才たち」2121本目

面白かった。題材も新鮮だし、タイの若いエリートたちの奮闘ぶりは、悪気たっぷりに悪いことをしてるのに、どこか応援したくなる。 カンニングっていうこと自体は、試験というものがある限り、有史以来世界中で行われてきたことだと思うけど、舞台が日本でも…

スティーヴン・ソダーバーグ 監督「恋するリベラーチェ」2120本目

この映画ずっと気になってました。リベラーチェは実在したアーティストで、美しいものを愛し続けたキッチュな大スター。きらびやかな、イメージ通りの”ゴージャスなゲイの人生”を生きたのに、おおやけにはゲイであることは隠し通した・・・って隠せるもんな…