愉快だな〜。Desigualのデザイン(スペインのブランドだもんね)みたいな黒地に百花繚乱の色づかい。ペネロペ・クルス演じるライムンダの肝っ玉の強さ。理屈じゃない、女系家族の徹底した男運の悪さ。画面いっぱいの女たちのたくましさを見ているだけで、何が起こっても悲壮感のない作品に違いないと思ったらその通りでした。
感想を見ると、男性と女性とで評価が真っ二つに分かれるのも愉快です。
なぜ悲壮感がないかというと、彼女たちは男たちにひどい目に合わされても、相手を恨みに思うどころか、思い出そうともしない。彼女たちの思いはただ一つ、娘たちや孫へ向かい、反発心でますます強くたくましく生命力を増していきます。
多分、自分の娘に手を出すような男が改心することも絶滅することもなく、やられっぱなしの女たちにできることはあまりないけど、100人に一人くらいはこういう復讐というか勧善懲悪を実践することもあるぞ・・・と。何かしら男性の誰かに男性という権威をもって性的に嫌な思いをさせられたことのある女性なら、共感したりあっぱれ!と叫んだりするんだろうなと思います。
死んだはずの人が生きているとか、事実としてありうるのかどうかわからないこういう設定を見ると、私の好きな中南米の小説や映画の”マジック・リアリズム”はスペインからもたらされたラテン気質なのかな、とつながりに興味が出てきます。
しかしペネロペ・クルスって、可愛いお嬢ちゃんにも見えるのに、ごっついおばちゃんにも見える。女は怖い、って言われる女の典型かな。その姉のソーレ(ロラ・ドゥエニャス)はアイラインもほとんど引かず人の良さそうな普通の女性なんだけど、
何が起こっても意外と動じない。もうちょっと彼女の他の映画も見てみたいです。