映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ロン・ハワード監督「スプラッシュ」2158本目

だいぶ前に録画したやつ。ラブコメっていいわね、平和な気持ちになれて。

それにしてもダリル・ハンナってこんなに可愛かったのに、キル・ビルやそれ以降のあの迫力は・・・。アイドルとしてデビューしたミミ萩原がその後プロレスラーに転向したようなものか・・・?

一方のトム・ハンクスは若くてぷよぷよしていて、まだキャラクターが定まっていない感じ。

細かいエピソードは、ほんわかと可笑しくて。本当の名前は?と聞かれてイルカみたいな声でキーキー叫ぶと、家電売り場のテレビのブラウン管が次々に割れるとか、レストランで出たロブスター丸ごとがっつく・・・とかね。

水の中で抱き合う場面は「シェイプ・オブ・ウォーター」みたいで(こっちが何十年も咲き出し、おおもとは人魚姫の童話だけど)ちょっとうっとりしました。

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フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン 監督「ビューティフル・ボーイ」2157本目

「ビューティフル・ボーイ」はジョン・レノンが息子を歌った曲。あまりにストレートすぎて、これがティモシー・シャラメでなかったら成立しない映画だなぁ。

人が薬物中毒になる原因ってあるんだろうか。面白そうと思ってそっちに流れてしまうのって、ギャンブル中毒になったり過食症になったり、流れられなくて鬱に陥ったりするのと似てるように思うので、何か一つ原因があるような単純なものではないと思う。

親の期待が大きすぎて、表と裏のある人になっていくこともあるだろうし、親から無視されて逃げ場所を探す人もいる。とか想像してみても、本当はわからないんですよね。。。私は自分で踏みとどまるタイプの人間だから。

父親役のスティーヴ・カレルも情熱ほとばしって良かったけど、喋り方が息子とやけに似ていて、声だけ聞くとどっちが話してるかわからなかった。(画面をちゃんと見ろって話ですね、すみません)

父も息子もライターだなんて、なかなかない状況だと思うので、対になる「グレイト・ファーザー」という息子視点の映画も見てみたいです。

クリント・イーストウッド監督「運び屋」2156本目

クリント・イーストウッド、さすがに歳とったなぁ。表情や動きの表現の幅に限界を感じます。密売人どもにまるでひるまないのは「俺は軍人だったんだ」という過去の経験からということだけど、するっと抵抗なく運び屋を引き受けたり、繰り返し犯行を続けたい動機が今ひとつピンときませんでした。お金がないから?稼いだお金は税務署に目をつけられそうなくらい浪費します。ピカピカの新車を買い、孫の結婚式に盛大な差し入れをし、「バーにいる全員にごちそう」したりする。人生の締めくくりに、楽しんでやろうという心意気だったのでしょうか。最後に彼は、妻の愛も、自分のために泣いてハグしてくれる娘や孫も取り戻しました。何人も撃たれて死ぬような危険な商売だったけど、この善良なおじいさんが非業の死をとげたりしなくて、よかった。そんなふうに全体的に明るく、深刻さのない映画でした。

ブラッドリー・クーパー監督「アリー/スター誕生」2155本目

レディ・ガガの演技が良くてびっくり。下積み時代のステージや職場の彼女も「こういう子っていそう」だし、戸惑いながらもあっという間に階段を駆け上っていく姿にも説得力があります。彼女のパワーやエネルギーをフィルムに残したという点だけでも価値のある作品だと思います。

ブラッドリー・クーパーも「優しくて才能があるけど、どこか弱い男」という難しい役柄をこれほど演じられる幅があるとは思ってなかったので、いい驚きでした。監督としても、バランスのいい客観的な仕事をしているなぁと感じます。

いい映画でした。

レオ・マッケリー監督「めぐり逢い」2154本目

ケーリー・グラントとデボラ・カー。美男美女だけどお人形みたいじゃなくて随分、人間くさい二人です。といっても年齢差大きそうですね。1957年のケアリー・グラントは53歳、デボラ・カー36歳、その差は17歳。

デボラ・カーの服は、遠目では彼女を美しく見せてるけど、近くで見ると、せっかくの鮮やかなオレンジと白が変な形に組み合わさってたり、生成りのジャージードレスの首元に大きくてかっこわるいボタンがどかどか付いていたり。誰だろうこの衣装担当・・・クレジットなしか。

出会ってしまったふたりは、船を降りてそれぞれの前の恋人と別れることを決意します。彼女の表情は一貫してしっかりとしていて、苦悩のヒロインという感じが全然ないのがすごい。がっつり自己肯定ができている人の表情と行動です。その後、そんな彼女でも意気消沈してしまうことが起こるのですが・・・。

エンディング近くまで気丈すぎるくらい気丈な彼女が、全てを悟った彼の前で初めて流す涙・・・。もらい泣きしちゃうじゃないですか・・・!実際のところこれほど強いキャラクターってのは、憧れるけどちょっと想像しにくいけど、その強さが最後に崩れる瞬間が、この映画の最高のクライマックスだったんですね。素敵な二人、素敵な映画でした。

 

ジョン・バダム 監督「張り込み」2153本目

逆の順番で見てしまったけど、第一弾は第二弾よりもっと冒頭の映像がチープだな・・・きっとこれが当たって、次はもう少しお金をかけてもらえたんだろう?この映画に関しては、こっちを後に見てよかった。続編はドタバタコメディだけどこっちはラブコメ。順番が逆だったらびっくりしたと思う・・・。

この映画の方は、生ゴミじゃなくて生魚にまみれるのね。「食べ物を粗末に〜」って言いたくなるし、魚をさばくパートのおばちゃん達がみんな日本人に見えて、そこはどこの日本の港町?と思いますが、シアトルです。

張り込む相手がとってもチャーミングな女性で、刑事が恋に落ちる、というのはなるほどですが、たまたま助けられたとはいえ、彼女の方から「親兄弟がみんなあなたみたいな人と結婚しろっていうのよ。どう思う?」というのは出来過ぎ??

ピンクの大きな帽子をかぶって彼女の部屋から逃げ出す映像を、会議室でみんなで見る・・・なんて場面は、単純に好きです。でも、この映画ではエミリオ・エステベスが脇役すぎないかな?

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ジョン・バダム 監督「張り込みプラス」2152本目

テレビでやったのを録画しといて、だいぶ経ってから、しかも、続編のこっちを先に見ました。という期待しにくい状況だけど、面白かったですよ。ワザとっぽい設定やユーモアも、毒がなくて楽しい。 どうしてもこのロージー・オドネルが「SPY」や「ゴーストバスターズ」に出ていたメリッサ・マッカーシーと重なる・・・。そんなに似てる訳じゃないのに。エミリオ・エステベスはどうしてもマーティン&チャーリー・シーンと重なる(当たり前)。そして殺し屋トニーは、なんとクレジットなし。

ただ、面白さは「偽家族を演じる」というホームドラマ的なおかしさで、やたら大きな爆発とか、やたら汚すぎる生ゴミ運搬車とかは、面白いというより賑やかすぎるかな〜。

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