フランシス・ヴェベール 監督「3人の逃亡者」2069本目

最近、おバカコメディばっかり見てるな・・・。これも相当なやつ。百戦錬磨の銀行強盗が、出所したその日に立ち寄った銀行で、銀行強盗が発生、 まさかの人質にされてしまう!おまけにこの犯人がとてつもない間抜けで、お金はちょっとしか取れなかった上に、失敗に次ぐ失敗、やっとのことで逃げ出したが・・・。

ゴツい強盗のニック・ノルティは笑うと人が良さそうだし、ダメ強盗のマーティン・ショートは思い切りダメだし、その娘セイラ・ローランド・ドルフは、こんなに可愛い人間の子どもがいるのかというくらい可愛い。3人のキャスティングが絶妙です。じわじわとくる、どこかのんびりした可笑しさがいいですね。こういう映画ばっかり見てると、アメリカって国が嫌いじゃないなーという気がしてくる・・。

3人の逃亡者 [DVD]

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ボビー・ファレリー /ピーター・ファレリー監督「ふたりの男とひとりの女」2068本目

ジム・キャリーの顔芸すごい!この人の顔の筋肉はどうやって鍛えたんだろう・・・ほんとに。間抜けでいい奴「チャーリー」と、乱暴者だけどやっぱり間抜けな「ハンク」、どっちを選ぶかは究極の選択って気もするけど・・・。レニー・ゼルウィガーは、この映画は「ブリジット・ジョーンズ」の前年だ。いつも警官役のロバート・フォスターとリチャード・ジェンキンズ、彼らが出てるとなんだか安心して見られますね・・・。

アメリカのスレスレなところのジョークたっぷりのおバカ映画ですが、身長90センチくらいの黒人が大変な知能の持ち主で、ジムの妻とできて出て行ってしまうんだけど、あくまでも「俺がブラックだからって言って差別するな!」しか言わない、とかまるきり黒人のガキどもを息子として仲良く育てるとか、誰も傷つけないおバカっぷりがいいですね。

ジム・キャリーの演技が若干ウルサいんだけど、「一人で二人分の喧嘩」あたりでまた(やっぱすごいなぁ〜)と持ち直し、安心感のまま大団円へ。

ちょっとした端役に有名人をたくさん使ってるみたいで、アメリカの人が見たら小ネタだらけで楽しいんだろうな。

 

家城巳代治 監督「異母兄弟」2067本目

1957年の作品だけど、もっと昔の映画に見える。三國連太郎演じる軍人が威張って澄まし返っている感じが、戦後の映画じゃないみたい。

このとき三國連太郎34歳、田中絹代48歳。このお年にして16歳の女中の役がそれなりに見えてしまう。一流の歌舞伎の女形みたいな演技力。高千穂ひづる、爽やかで可愛いですね。浅田真央のお姉さんの舞さんに似てません?

・・・と楽しい話はここまで。この映画は男が女中に手をつけて孕ませておいて、金銭的援助もせずにただ家に置いておいたら世間体が悪くなったので、形ばかりの結婚をする。前妻との子2人と、後妻とその子2人をあからさまに差別し、いじめ続けたという胸くそ悪いお話です。

結局、上の3人の息子は戦死。末の子が戻ってきて、老いさらばえた父にやっと反抗できる後妻だけど、それが何かの足しになるのか?末の子と仲良くなった気立てのいい若い女中との仲も引き裂いてしまう。ここまで来ると、彼女自身が差別を助長してるともいえる。耐え忍ぶことで自分の位置を必死で守ってきたひとりぼっちの女。今の時代の、たとえば帰国子女とかが見たら、なぜ田中絹代がこれほど耐え忍ぶのかが理解できないだろうな。「Mなの?」とか聞きそう。(そうなのかもしれないけど。)

「母さんだって悪いんだよ」(と三男が言う)「みんなあんた達のために辛抱してきたんだよ」

威張り散らすだけの夫は、自分と後妻が「同じ人間」だという意識を持つことはなかったんだろう。終戦後のアル中の夫の演技がまたうまい。まだ軍服を着たまま、何もせずに酒ばかり食らうおじいさんにしか見えない三國連太郎34歳・・・。最後はもう夫婦というより親の介護でもしているようです。

田中絹代って、耐え忍ぶのに慣れた日本の女を演じたら世界一だなぁ。でも、ただ黙って耐えるだけの姿って見ていて辛い。どんなに反撃を受けるとしても、言いたいことを言って散る方が、見ている者には救いがある。

音楽はパイプオルガンで、メキシコのカトリック教会の物語みたいに荘重。この音楽のせいで、映画が知らないアジアの国の大昔の映画のような感じもありました。

異母兄弟 [DVD]

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フリドリック・トール・フリドリクソン 監督「春にして君を想う」2066本目

永瀬正敏が出てる「コールド・フィーバー」って映画を見て、もう1本見てみようと思ってレンタルしました。こっちの方が4年後の作品。静かでロマンチックなロードムービー。起承転結も特徴もないけど、なんとなく共感を覚える。北欧的なゆっくりした時間の流れのせいかな。

ひとりの老人(コールド・フィーバーで永瀬を案内した役の俳優だ)がある日農業に疲れて、娘夫婦の家へ向かう。(このとき愛犬を殺す場面があった気がするんだけど、気のせい?)孫娘の当たりがきつく、すぐに老人施設へ送られるんだけど、この辺は「東京物語」を思い出せばいいのかな。この老人と、施設で再会する幼馴染の女性が、地に足がついていてリアリティがあって、良いのです。不機嫌だったり面倒くさそうだったりする、生きた人間がそこにいる感じで。

キレイな女性の幽霊もいるけど、ブルーノ・ガンツの天使もいる。でもそういうのは置いといて、老人二人のみちゆきに同行しましょう。

彼らが歩く霧深い道が、土星の輪みたいできれい。たどり着いた家の暖炉の炎に、赤らむ彼女の頰。

こんな風に死ねたら最高だな〜、という映画なのかも。長年のいろんな蓄積で顔のシワは深く、ほぐすことは叶わないけど、二人は胸の中で久しぶりに灯った小さな火を共有してる。

アイスランドだから、海岸で寝たりしたら凍死するよ・・・。その場所へ苦労してたどり着いて、自然に埋もれることが理想なのかもな・・。

春にして君を想う [DVD]

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ニール・ジョーダン 監督「ことの終わり」2065本目

愛憎入り乱れる人間ドラマかな、と思ったら、愛のおとぎ話だった。

夫がいても誰かを好きになることはあるだろうけど、ここまで純粋に相手を思って身を引けるなら、なんで最初から付き合ったりするのかな、って気もする。誰かを一途に愛した人は、夫を愛さなくてもいいのかな。愛ってのは誰かを大切に思って大切にすることで、それは長年の暮らしから少しずつ生まれてくるもの、って最近は考えてた。「一目惚れ」という愛欲も愛のうちなんだろうか。素直に愛に生きられる人が、死という運命に逆らおうとするのはどういう心境なのか。どういう立場であっても、ふわっと好きになって一生愛し続けるような人間関係を持てる乗って、羨ましい気はします。

この映画の興味深いところは、「ネタバレ編」が途中に挟まっているという構成。これを挟んであとは、すこし魔女めいた女性の純愛の物語へと、映画が変化していきます。これって、女性目線のようでいてそうじゃなくて、「妖精のような女に会って愛しあったよ」という男同士の昔話みたいな世界なんだろうな。美しくて、ちょっとお腹が空く感じの映画でした。

ことの終わり (字幕版)

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長井龍雪 監督「劇場版 あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」2064本目

もともとTVシリーズだったもののダイジェスト版に、多少コンテンツを追加したものだそうです。だから、設定はわかっても、成り行きがすごくわかりにくい。じわじわと共感できないので、気の優しい女の子が、傷つくことを言われた直後に何らかの事故で亡くなった→後日仲間内の男の子の前に幽霊となって登場→仲間たち集まって考える→悔いが残っていた理由が判明、「成仏」 というシークエンスが理屈で理解できただけ。

こういうアニメの世界では、優しいだけで自己主張のない女の子がプリンセスになれる。現実世界では割と今は流行らないし、セクハラやパワハラの餌食になりがちで、地味な生活に埋もれるタイプだと思うので、こういう現実離れした美しい世界があってもいいと思うよ。とはいえ、自分に馴染みのある、近い世界って感じは持てなかったな〜〜

 

マイク・ニコルズ監督「キャッチ22」2063本目

1971年のアメリカ映画。

コメディでクレイジーな戦争映画ということで、名作と名高い「M★A★S★H」に類する作品と言われてるそうです。アート・ガーファンクルアンソニー・パーキンスマーティン・シーンオーソン・ウェルズまで出てる。MASHは朝鮮戦争もので、これはMASHの1年前に公開された映画で、第二次大戦もの。現場音が多くて、BGMが少ない。戦闘機が飛び交うノイズなんかもそのまま撮られていますね。

この映画は、正直、わたしには難しかった。タイトルや時系列の歪みの意味することも理解できなかったので、DVDに入ってる「マイク・ニコルズスティーブン・ソダーバーグによる解説」入りでもう1回見ました。それでやっとこの映画の構成が、ヨサリアンが帰国直前に何者かに刺された場面から、この戦場でのことを回想する形になっているとわかった始末です。

そう言われてみれば、ほぼ全場面に脈絡なく彼は登場しているし、各場面はちゃんと始まらずちゃんと終わらない。だって回想だから。要は、脇腹に致命傷をくらって、息絶えるまでの数分間、今までのことが走馬灯のように彼の脳裏を過ぎる、という場面ですよね。<以下突然ですがネタバレ>彼を刺したのがまさか女性(ヨサリアンがネイトリーを殺したと思い込んでいる、ネイトリーの恋人)だなんて、監督の口から聞くまで思わなかった。

1つの場面で、壁の写真がルーズベルトチャーチルスターリンと変わってるっていう小ネタとか、コメンタリーがなければ永遠に気づかなかった。ニコルズ監督は何度も「わかりやすさのために、役者の動き全体をカメラに収める努力をしなかったのは、不親切だった」と口にします。原作を読んで、もっと細かくこの映画を見られたら面白かったかな。今はもう、言葉による解説で納得して達成感しかないので、逆にこれは「映画の楽しみ」だっけ?という気もしてる・・・。

キャッチ22 (字幕版)

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