ハロルド・レイミス 監督「恋はデジャ・ブ」1990本目

原題は、舞台となる記念日「グラウンドホッグ・デイ」(本当にあるんだな、そういう行事が)。「恋はデジャ・ブ」という邦題は、ループする1日を恋をしながら繰り返すという意味かな。間違ってない。

ジャケット写真を見たらトム・ハンクスの映画だ。こんな映画借りたっけ?と思ってよーく見たらトム・ハンクスじゃなくてビル・マーレイだった。似てたっけ?

監督のハロルド・レイミスというのはゴーストバスターズの一人ですね。出演もしてる。(外科医の役だけど、こんなに貫禄あったっけ?)

結局彼は何回グラウンドホッグ・デイを繰り返すのかな?3回目でとうとう中継を放り出してダイナーへ。狼藉の限りを尽くして留置所に入れられても、朝起きるとまた・・・。

世の中にあまたあるループものの中でも、主人公が状況を利用する〜ヤケクソになる〜なんども自殺を試みる〜達観する〜精進を始める、といった積み重ねが、よく練られていて濃いですね。だんだんピアノが上手くなったりするあたり、なるほどそうきたか・・・。そしてだんだん、スーパーマンバットマン+ミュージシャンなどなど、要するにスーパーヒーロー化していくフィル。

「輪廻転生」みたいですね。人は生まれ変わるたびに、やけになったり一生懸命頑張ったり、なんども達観したり、そうやって少しずつ積み重ねていって賢くなっていく、みたいな。ビル・マーレイの態度?演技?はいつものようにチャラいんだけど、どこかすごく深い映画でした。

それにしてもグラウンドホッグのフィル、可愛い・・・。(ふがふが・・・)

恋はデジャ・ブ (字幕版)

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ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス 監督「リトル・ミス・サンシャイン」1989本目

KINENOTEでは「見た」人がびっくりするくらい多いし、評価もかなり高めだけど、思ったのと全然違ってた。不幸な家族を一人の少女が明るくする、みたいなストレートな感動作品か、フランスの映画みたいなじんわり感動する映画かと思ってたけど、アメリカの色々あるけど根が明るい家族のドタバタだったな・・・。面白いっちゃ面白かったけど、意外と「ひねり」がない。自殺しそこねたフランクと引きこもりのドウェインとか、いい組み合わせなんだけど途中から二人とも普通に素直になるし、肝心のミス・サンシャインは光を振りまくというよりマイペースだし。どうしてこうなったのかな・・・。

うちのBlu-rayプレイヤーはどうしても日本語字幕が出せないことがあって、今回も英語音声+英語字幕で見ました。かなりわかりやすい方だったと思うけど、微妙なニュアンスがわからなくて、面白さが足りなかったのかなー。

マルセル・プルーストについて、フランクがドウェインに、「完全な負け犬で、誰も読まない本を20年も書き続けたフランスの小説家」って語る場面があります。プルーストそんなにいいかね。「失われた時を求めて」この間初めて読もうと試みたけど、あっという間に挫折しました。デイトン&ファリス監督は「ルビー・スパークス」が意外と良かったので期待したんだけど、今ひとつ私とはセンスが違ってたのかな。。。

 

ミッチェル・ライゼン 監督「ミッドナイト」1988本目

これはまた古い映画だ、1939年。クローデット・コルベールって見たことあるな、このぱっつん前髪・・・と思ったら1934年のフランク・キャプラ監督「或る夜の出来事」だ。 あっちでは大富豪のわがままな令嬢役、今度は文無しの役か。軽妙で愛嬌があって、頭の回転が速そうな女優さんです。(なんとなく、高峰秀子みたい)

舞台はパリという設定だけど英語を喋ってるのでニューヨークにしか見えないなぁ・・・。(クローデット・コルベールはパリ生まれで英・仏堪能らしい)

タクシー運転手のドン・アメチって初めて見たかも。名前から勝手にメキシコ人かと思ったらイタリア系アメリカ人でした。クローデット演じる文無しのイヴ・ピーボディにお金やホテルを与える中年紳士ジョージを演じるのは、ドリュー・バリモアの祖父のジョン・バリモア。タクシー運転手は何が何でも彼女を見つけ出そうと、仲間の運転手たちを扇動したり、ハンガリーの貴族に化けたり。

実にいいテンポで、愉快にオシャレに映画は進んでいきます。昔の映画のこういうテンポって好きだな〜。運転手と彼女の「でっち上げ力」ハンパないです。いつの時代のどんな場面でも、こういう瞬発力って強い。結末は妙にあっけないけど、声をあげて笑ってしまう場面も多く、こういう映画ってほんとに、もっと見る人がたくさんいればいいなーと思います。TSUTAYAでちゃんとレンタルできるし!

ところで、アフリカっぽい打楽器に乗せて、ムカデみたいに繋がって踊るのは何?調べてみたらルンバのあとで流行った「コンガダンス」っていうんですって。コンガを叩きながら奏でる音楽に乗せて踊るのが、この時代の流行だったんでしょうね。

ミッドナイト [DVD]

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レナード・ニモイ監督「スリーメン&ベビー」1987本目

この映画のテーマ曲、グロリア・エステファンの「バッド・ボーイ」が好きで好きで・・・。今まででベストというくらい好き。実は当時この映画見てないんだけど、CMで流れてたこの曲だけが耳に残って、その後だいぶたってから映画も見た・・・という。

特にファンって訳でもないんだけど、 彼女のちょっとハスキーな声で「悪い子ね、私をいい気分にさせて」なんて歌われると、素敵な恋人たちのイメージが浮かんで、なんだか幸せな気持ち。彼女の歌って本当にハッピーなんですよ。ドラアグ・クイーンたちと一緒に歌い踊る「エバーラスティング・ラブ」も好きだったなぁ。マイアミ育ちだけどキューバ出身らしいおおらかさがあるし、九死に一生を得た大事故にあった後のカラッとした笑顔が、ちょっと切なくてあったかい気持ちになります。

・・・映画の話に戻らなければ。この映画フランスのコメディのリメイクなんですね。オリジナルも見てみたいけど、数珠つなぎに映画を見ていくと一生見終わらないので今回はやめておこう。

スターで売る映画じゃないし、普通の大人の男たちが事件に遭遇して、ちょっと犯罪にも関係するけどドタバタの挙句、元の鞘に収まる・・・というあたり、「ハングオーバー!」とかの仲間ですかね、この映画は。退屈なとき、つまらないとき、飛行機内、とかで楽しませてくれるタイプ。B級かもしれないけど、割と好きなんだよな、こういうの・・・。

※あと、この映画に幽霊が写っているという都市伝説は嘘で、ドアの隙間から見えてるのはジャックのタキシード姿のパネルだよ〜。

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若松孝二監督「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」1986本目

怖い映画なのかな〜、とビクビクしながら見てみる。でも、みんな思っただろうけど、三島由紀夫井浦新ってイメージ全然違うよね。三島のピシーッとした枢軸国軍のような雰囲気、形を極めるところから入る頭でっかちな感じと違って、井浦新は透明で感じやすく純真だ。憑依してくれたらよかったのかもしれないけど、そこまでは感じられない。

満島真之介は、これが映画デビューだったのか。思いつめる若者の役は合ってるかもしれないけど、彼が演じる三島由紀夫の右腕、森田必勝は写真を見ると秦基博みたいな感じでちょっとイメージ違う。

でも、赤穂浪士の討ち入り直前のような彼らの決起の様子は、とても興味深いです。世界大戦のために張り詰めたあと急に弛緩させられた神経のおきどころ、ノーベル賞を獲れなかった三島と、子供の頃から身の置き所のなかった森田(Wikipedia情報ですが)が何を目指せばいいのか。結局彼らが死によって起死回生を図ろうとしたのが、この事件なのだと思います。愚かなのかもしれないけど、生よりも死が大きく取り上げられ、見

方によってはもてはやされるのが、マスコミの世界だし世間の噂というものです。

市ヶ谷での演説の場面は、まるで群衆の誰も聞いてないみたいにガヤガヤと賑やかで、自決の場面は刺激少なめな描き方。三島を美化する映画じゃなくて個人的にはよかった。

3年ほど前に本屋の店頭で「面白いからとにかく読んで!」みたいなPOP付きで宣伝してた「三島由紀夫レター教室」、続けて「音楽」「獣の戯れ」と読んで、彼が当時どれほど才気溢れてイケてる流行作家だったか想像できました。この映画は、今見ると気の毒な気持ちになるほど、いきり立ってクレイジーだった彼の人間臭さを残しておきたいという若松監督の思いなんだろうな、というのが私の感想です。

 

アンリ・ヴェルヌイユ 監督「禁断の木の実」1985本目

ヴェルヌイユ監督の作品は、「地下室のメロディー」「ダンケルク」「ヘッドライト」と見てこれが4本目。この作品が一番古くて1952年、長編デビュー作なのかな。

主役は「フェルナンデル」・・・姓は?と思ったら、これが芸名のコメディアンだったんですね。愛嬌があって笑顔が明るいので、浮気おじさんだけどなんとなく憎まれない感じ。再婚相手は貴族みたいに上品で素敵なんだけど、駅で出会ったお嬢ちゃんの可愛いこと。・・・と思ったら、「ヘッドライト」でジャン・ギャバンと恋に落ちる奔放な女の子をやってた人ですね。うーむ、可愛い。広いおでこ丸出しの、少しだけ巻いたパッツン前髪。無造作にウェーブした短めの髪。これを演じてるフランソワーズ・アルヌールの名前を、石ノ森章太郎が「サイボーグ009」(1964年〜)の003に拝借してたということも知らなかった。同姓同名。この映画が1952年(21歳)、「ヘッドライト」でも1956年(25歳)なので、だいぶ前からのファンだったのかな。1963年に来日して「スター千夜一夜」に出たという情報もあるので、その時に惚れたのかもしれませんが。しかし筋が頭に入らないくらい彼女から目が離せません。ロリータ/ファム・ファタールな展開。滑稽なくらい、45歳の立派な医師フェルナンデルは身を持ち崩していきます。彼をいつまでも子供扱いする老母、真面目で体面を何より重んじる妻。「あなたが体面ばかり重んじるから息子は不幸だった」「家族を捨てるような弱い男に育てたのはあなたです」・・・終盤のこの女二人の会話が最高でした。

すごく、登場人物がそれぞれに芯があってしっかり生きていて、人間ってみんな少しずつばかだなぁ、でもなんか愛しいなぁ、と思える良い映画でした。

禁断の木の実 [DVD]

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ダニス・タノビッチ 監督「鉄くず拾いの物語」1984本目

 「ドキュメンタリーみたいだけど違う。再現映像だ。だから映画としてはよくない」という感想が結構あるみたいですね。この映画が日本で上映されたのが2014年。クリント・イーストウッド監督が、事件の当事者たちに演技をさせた「15時17分、パリ行き」を撮って全世界にメジャー配給したのは今年、2018年です。手法はまさに同じ。公開の順番が逆だったら、この映画を気に入らなかった人は手法についてではなく、別の観点から批評したかも。私はどっちの映画も面白いと思います。実のところ「鉄くず拾い」の方は、地味な映画だなー、なんかオチがないなー、と思うけど、出演者に違和感は全然ないし、リアルな彼らの暮らしを映画という形で覗き見させてもらってありがたいと思います。この映画に違和感を持った人は、映画としてどうというより、ドラマとしての完成度を言いたいのかも、という気がします。

貧富の差もあるし、医療の進歩も地域や時代によって違うので、その時の最低限の医療を受けられないことは、すごく残念だけど仕方なくもある。道義的には、正直なところ、命に関わる事態で他人の保険証を借りることは(やっちゃっていいんじゃない?)と思ってしまうけど、もっとにっちもさっちも行かずに命を落とす人も、世の中にはたくさんいるんだろう。でもさ、車は分解しないで走る状態で売った方が少しは高く売れるんじゃないかと思うんだけど、違うかな・・・。

鉄くず拾いの物語(字幕版)

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